猫と暮らす、既存の梁や建具を生かした築110年超の古民家再生
設計:竹下和宏建築設計事務所
施工:森本工務店
築110年を超える日本家屋を、今の暮らしに合わせて再生しました。施主様が感じていたのは、古い間取りによる暗さや寒さ。設計事務所からの紹介をきっかけに、当社が施工を担当しました。改修では、長い年月を経た建物だからこそ残っていた梁や建具、古箪笥などを生かしています。すべてを新しくするのではなく、既存の建物の良さを見極め、新しい間取りや素材と組み合わせながら再構成した古民家再生です。

【既存の梁を現しにした、カバザクラの玄関土間】
玄関は、大きな窓を設けた広い土間空間へ改修しました。「どうしても木が良い」という施主様のご要望を受け、カバザクラを採用しています。天井を解体した際に現れた既存の梁は、そのまま空間の特徴として活用。古い建物が持つ構造を活かし、新しく施工した木部と組み合わせています。玄関土間には机を置き、庭で遊ぶ愛猫の様子を室内から眺められる場所にもなっています。

【靴を履いたまま利用できる玄関土間の談話スペース】
玄関土間の一角、上がり框の手前には談話スペースを設けました。室内へ上がらず、靴を履いたまま人と話せる場所です。壁のコーナー部分には木を湾曲状に貼り、緩やかな雰囲気に仕上げています。

【既存の建具を再利用したアトリエ】
玄関土間に新しく設けた手洗い場。その奥には、既存のアトリエを残しています。アトリエの建具には、長年使われてきた既存のものを再利用しました。年月を経て色合いが深まった木部を新しい空間の中にも残し、改修前の建物の面影を引き継いでいます。

【丸太を現しにし、縦長の窓を配した廊下】
廊下の突き当たりには、縦長の窓を配置しました。廊下を進んだ先に庭が見える構成です。天井は屋根に沿って高さを取り、既存の丸太が見える仕上げとしました。丸太の配置に合わせて照明も取り入れ、古民家に残されていた構造そのものを廊下の意匠として生かしています。

【廊下だった部分まで室内に取り込んだ洋室】
庭に面した廊下だった部分を洋室の一部へ取り込み、室内として使えるよう改修しました。天井にはシナ合板を使用。建具にはカーテンレースの生地を取り入れています。木部と透け感のある生地を組み合わせた仕上げです。

【古箪笥と組子の障子を取り入れた仏間】
既存の古箪笥は、床を修復したうえで壁に埋め込む形で納めました。古い家具を単に置き直すのではなく、改修後の仏間の一部として組み込んでいます。建具には、組子を用いた太鼓張りの障子を採用。既存の古箪笥と新たに施工した建具を一つの空間にまとめました。

【既存の梁を見せ、タモの床で仕上げたLDK】
LDKも天井の梁を隠さず、既存の構造が見える仕上げとしました。床にはタモを採用しています。長い年月を支えてきた梁を残しながら床や内装を整えることで、古民家に残る部材と新しく施工した部分の両方が見えるLDKとなっています。

【LDK・洗面脱衣室・寝室をつなぐ回遊動線】
寝室はLDKに隣接して配置しています。LDK、洗面脱衣室、寝室がつながり、行き止まりにならずに移動できる回遊動線です。それぞれの部屋を一方向から出入りするだけでなく、別の場所へ抜けられるため、室内を移動するときの経路を選べる間取りになっています。


【漆喰・焼き板で仕上げた外観】
外壁には、漆喰と焼き板を使用しました。既存の古民家に、新しく施工した部分を組み合わせています。庭側には6枚の大きな木製建具を配置。建具を開けることで、室内と庭が直接つながる構成です。